天然色と処理色の違いとは|照射処理・HPHTもわかりやすく解説

 

色を持つダイヤモンドは、ひとまとめに語られがちです。

ただ、購入や価値を考える場面では、その色が天然で生まれたものか、それとも後から処理によって変えられたものかを分けて考えることがとても大切です。

ファンシーカラーダイヤモンドという言葉も広く使われますが、実際に選ぶときに大切なのは、色があることだけではありません。

その色がどう生まれたかまで確認することが大切です。

今回は、天然色と処理色の違いを軸に、代表的な処理である照射処理とHPHTについて、できるだけ分かりやすく整理します。

 

参考となる処理石の写真がないため、本ページでは、ナチュラルカラーのファンシーカラーダイヤモンドの写真を中心に構成しています。

1)天然色とは|自然の働きで生まれた色

 

天然色とは、ダイヤモンドが地中でできる長い過程の中で、自然に色を持つようになったものです。

色が生まれる理由は一つではありません。

ごくわずかな成分の違い、ダイヤモンドの内部の変化、自然の中で受けた影響など、いくつもの条件が重なって色が現れます。

天然色が大切なのは、自然の中で限られた条件が重なって初めて現れる色だからです。

ファンシーカラーダイヤモンドでは、色そのものが価値を大きく左右するため、天然色であることに大きな意味があります。


 

写真:ナチュラルカラーのファンシーインテンスグリーニッシュイエローダイヤモンド
鮮やかな果物のように色を処理したダイヤモンドも存在する(イメージ)

2)処理色とは|人の手で色を変えたもの

 

処理色とは、もともとのダイヤモンドに人の手を加えて、色の見え方を変えたものです。

代表的な方法として、照射処理やHPHT処理があります。

ここで気をつけたいのは、処理色といっても、石そのものは天然ダイヤモンドである場合があることです。

つまり、天然のダイヤモンドに処理を施して色を変えていることもあり、石は天然でも、色は天然ではないということがあります。

そして大切なのは、処理によって色が変わっても、それが自然の中で生まれた色と同じとは限らないという点です。

見た目が少し似ていても、色が生まれた理由まで同じとは言えません。

 

3)照射処理とは|色の見え方を変える方法

 

照射処理は、ダイヤモンドに特別な処理を行い、色の見え方を変える方法です。

この処理によって、グリーン系、ブルー系、ブラック系などの色が見られることがあります。

ただし、人工的に色を変えることと、自然の中で長い時間をかけてその色が生まれたことは同じではありません。

たとえばグリーンダイヤモンドには、自然の影響で色が生まれた天然色もあります。

一方で、照射処理によって近い印象の色が現れることもあります。

見た目が似ていても、背景は別に考える必要があります。

なお、照射処理の石は、普段身につける分には安定していることが多いものの、修理のときの熱には注意が必要です。

 

写真:ナチュラルカラーのグリーニッシュイエローダイヤモンド
写真:ナチュラルカラーのファンシーディープオレンジピンク

まとめ|なぜ天然色と処理色の違いが大切なのか

 

ファンシーカラーダイヤモンドでは、色そのものが価値を大きく左右します。

そのため、同じように見える色でも、天然色か処理色かで意味は大きく変わります。

処理色は、天然のダイヤモンドに人の技術を加えて色を変化させたものです。ただし、その変化は自然の中で起きたことと、まったく同じとは限りません。

一目で違いが分かるものもあれば、見た目だけでは判断しにくいものもあります。だからこそ、印象だけで決めず、処理の有無やその内容を確認することが肝心です。

そして、処理について知ることは、単に注意点を知るためだけではありません。

どのように色を変える処理が行われるのかを知ることで、天然色がどれほど限られた条件の中で生まれているかも、より深く見えてきます。

処理を知ることは、天然色の希少性や素晴らしさをより深く理解することにもつながります。

 

写真:全てナチュラルカラーのファンシーカラーダイヤモンド

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著者/宝石撮影 嶋直樹
一般社団法人日本ジュエリー協会認定 1級ジュエリーコーディネーター
一般社団法人日本ファンシーカラーダイヤモンド協会 理事

本文中の宝石・ジュエリー写真は、主に嶋直樹が実物を撮影しています。
宝石は光や角度で表情が変わるため、できるだけ実物に近い印象でお伝えできるよう心がけています。

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